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【特別寄稿】時短機能の緩和と今後のぱちんこ機性能の考察(WEB版)/鈴木政博

投稿日:2020年2月10日 更新日:

4.設定付きぱちんこの場合の規定
さて、設定付きぱちんこの場合の規定はどうか。たとえば「bの時短発動ゲーム数」は低確率の分母の2.5倍~3倍となっているものの、設定付きで低確率が設定ごとに異なる場合はどうなるのか。

結論から言えば「設定ごとに時短発動ゲーム数は異なってはいけない」となっている。つまり天井時短のような性能がある場合は、そのゲーム数は「全設定共通」でなければならない。一方で、そのゲーム数は「全設定で2.5倍~3倍」に収まっていなければならない。

例えば設定1が1/319.7で、設定6が1/267.5の機械であれば「800ゲームで時短発動」ならどの設定でもギリギリ2.5倍~3倍に収まる。つまり「最高設定の2.5倍~最低設定の3倍」にする必要があるといえる。この点から考えると、b時短を搭載する場合は、あまり極端な設定差が設けられないことになる。

5.今後のパチンコ機について
今回緩和された新たなぱちんこ遊技機については、早ければ4月下旬~GW以降に登場してくる可能性がある。ではどんな機械が主流になるのか。

実際に登場してみないとどんなタイプが支持されるのかはわからないが、やはり懸念されるのは「一種ミドル」だ。一種ミドルの場合、例えば「900回で時短発動」となっても、そこから319分の1の確率で時短を消化することになる。時短スルーをできる限り避けるために時短回数を1,200回にした場合、遊技者としては「時短消化の長さ」と「時短スルーの可能性」がある点が大きなネックだ。また型式試験上でも、あまりにも長い時短消化は「役物比率」が高くなるため不適合リスクも増えるだろう。

したがって一種ミドルに関しては「bのゲーム数発動」での長い回数の時短はマッチングとしては悪いかもしれない。本誌前月号でポッカ吉田氏が述べていたように「灼熱レベルにアツい演出」がハズれた場合におまけ時短を発動してあげてストレス緩和につなげる、といった「cの特定ハズレ図柄」での時短の方がマッチングは良さそうだ。

やはり「bのゲーム数発動」については「一種+二種タイプ」が相性は良いだろう。このタイプであれば、時短回数は100回程度で済むし、さらに小当たり確率によっては、現行発売されている機種の中にもある通り「100回時短=事実上大当たりする」という性能にすることも可能だ。

ただしぱちんこ、というユーザー層を考えると、あまりにも天井時短に寄りすぎたゲーム性になるのは危険かもしれない。例えば通常時の大当たりはほぼ「電サポなし」で、天井時短発動時のみ電サポになるような機種を想定してみると、これはいわゆる「ハイエナ台」になってしまう。パチスロユーザーがパチンコに来るメリットもゼロではないが、ぱちんこユーザーが朝一から打つ気にならないデメリットの方が大きいだろう。

さらに、天井時短を搭載した分、当然スペックが甘くなる。したがってどこかで出玉を削る必要が出てくる。「天井時短のない台の方が、RUSH出玉が多い」となると、どちらがファンに受けるのかは導入してみないとわからない点だろう。

しかし、今回は新たなゲーム性が出てくる可能性も大いに期待できる。例えば甘デジなどでは、「一種+二種タイプで天井時短250回」とすれば変動性能により一時間に1回の大当たりを必ず出せるかもしれない。こうすることにより「型式試験の一時間試験下限」の出玉を大当たりで出すことにより、今までにない低ベースの機械が登場する可能性も考えられる。また「時短中に引ければRUSH」という、いわゆる突破型と呼ばれるタイプにおいても、大当たり以外に時短になる契機が増やせることで、バラエティ豊かなゲーム性が実現できるかもしれない。

今年は旧基準機の撤去が見えている。新たなぱちんこの登場で、ぱちんこ市場が活性化することを強く願う。

■ プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。

※本稿は過去に本誌に掲載した記事を、一部、WEBサイト用に編集した上で掲載しております。

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