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【特別寄稿】パチスロ6.0号機の現状と今後の展望(WEB版 前篇)/鈴木政博

投稿日:2019年9月16日 更新日:

3.出玉率下限の現状

さて、現在の適合率と試験対策を考察するにあたり、まずは「ベース」に関係する下限値の現状について見てみたい。現在、型式試験で行われている試験は「実射試験」と「シミュレーション試験」だ。この型式試験での下限値は「ボーナスでの払い出し」を含めた数値なので、実際にはベースではない。Aタイプであれば、ボーナスでの出玉も含めて下限値を超えればOKだ。

適合ラインについては(別表2)をご覧いただくとして、AT機の場合を考えてみたい。前述したとおり、シミュレーション試験については「増えないボーナス」を優先して入賞させるため、下限値は確実に超えるので問題はない。対策が必要なのは「実射試験」だ。出玉率の下限を見る実射試験では、「常に同一の打ち方」をするやり方で行われていると考えられる。例えば順押しなら「AT中も目押しせずナビ無視して順押し」する試験と想像すればわかりやすい。そうなると「AT中の出玉」は全くナシで、通常時だけで下限の60%を超える必要がでてくる。50枚ベースに換算すると48回以上だ。そのため6号機のAT機は「50枚で50G程度」のベースの機械が中心となっている。


そこで低ベース対策として考えられた6号機が、サミー「チェインクロニクル」や「蒼天の拳~朋友~」だ。この2機種は、遊技者が「目押しでボーナスをハズして打たないと、ボーナスが揃ってしまう」仕組みを採用したもので、裏を返せば「型式試験中も、常に目押しせず順押しで実射試験をしていればボーナスが時々揃う」ことになる。このボーナス中出玉で下限値を超えるという手法であり、遊技者が「常にボーナスをハズして遊技」しさえすれば低ベースになる。この手法によりチェインクロニクルで50枚で39回、蒼天の拳では50枚で33回という低ベースを実現することに成功した。低ベースであるぶん、AT確率もアップでき、コイン単価もアップするが、一方で遊技者がボーナスを揃えてしまうと増えも減りもしない無抽選区間が発生してしまう、という難点もあった。「目押しの面倒な遊技者」や、嫌がらせでヤメる前にわざとボーナスを揃える遊技者もおり、市場での評価もその難点が目立つ結果となった。

次に転機となった機種はネット「天晴!モグモグ風林火山全国制覇版」だ。この機種は「目押しでハズさないとボーナスが揃ってしまう純ハズレ」はないが「1枚役のみ成立しているゲーム」がある。押し順ナビに従えば1枚役が成立してボーナス揃いを回避できるが、押し順ナビどおり押さないと、1枚役を取りこぼし、果てはボーナスが揃ってしまう可能性がある。遊技者は「押し順ナビが出たら、ナビ通り打てばボーナスは揃わない」が、型式試験で下限値を見る試験では「常に順押しで実射試験をしていればボーナスが時々揃う」ことになる。チェインクロニクルや蒼天の拳と同じく「遊技者はボーナスが揃わず、型式試験では揃う」という手法ではあるが、こちらは遊技者が「目押しする必要がない」点が違い、しかも「嫌がらせで揃えるには、1枚役を捨てる」必要があるため、あまり露骨にボーナスを揃えられているのも見かけない。

低ベース化に向けた有効な手段だと思われるが、弱点もあるにはある。一つは純ハズレではなく1枚役を取るため「50枚で40G前半」あたりまでしかベースを落とせない点。そして二つ目は「1枚役orハズレ」ゲームがあることからAT中も「ナビに従って押して1枚役」というゲームが一定数出現してしまうため、AT中の純増枚数が現実的には3枚程度までしか上げられない点だ。

今後も、低ベース化に向けて様々な手法が試されていくと思われる。次回は「上限値」や「純増」について考察を進めてみたい。

(以下、中篇に続く)

■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。
Mail:msuzuki_u3ken@ybb.ne.jp

※本稿は過去に本誌に掲載した記事を、一部、WEBサイト用に編集した上で掲載しております。

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