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【コラム】パチンコ業界2020年危機!?<後編>

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ぱちんこ開発者の独り言㊽
積極的にぱちんこ新基準機を入れ替えていけばよいのか?と問われれば、それは難しい話である。前回2004年の規則施行後、パチスロ5号機は当初の想定より普及しなかったこともあり、行政からみなし機に対する設置期限を新たに設けられた(2006年6月20日をもって、みなし機は全撤去へ)

何故、パチスロ5号機が想定よりも普及しなかったのかというと、5号機のリリースが遅れたというのも理由の一つではあるが、スペック性能を比べた場合に、新基準機の5号機は旧基準機のパチスロ4号機やみなし機に勝てず、ユーザーは旧基準機を選択することが多かった。

合わせて、ホール側もその利益性能のため、強制的に撤去にならない限りは新基準機よりも旧基準機を積極的に利用した方が経営判断としてメリットが高いということである。

しかしながら前回の規則改正と違うのは、前回時は積極的にぱちんこ機は新基準機へ移行させていたため、3年間の経過措置期間、前半はぱちんこを後半はパチスロを入れ替えるという流れが出来ていたのである。

すなわち、前回の規則改正時と似た状況下ではあるものの、その当時の市場とは全く別であり、今回の方が圧倒的に市場が悪いのである。それだけではなく、消費税増税や受動喫煙対策における健康増進法の施行など、マイナスの外的要因も多く、業界全体として対応にあたらなければならない時期に差し掛かっている。

やはり最も問題になってくるのは、旧基準機から新基準機への入れ替えであろう。特に利益率の低い低玉貸しに設置されてある機械の入れ替えが顕著だ。そこで私は、各ホール団体から、メーカー団体へ「主に低玉貸しに設置されている機械の新基準機へのリユース」を強く要望すべきだと考える。

リユースとは、皆様ご承知の通り、当該遊技機の部品を流用し、新たなスペック機に生まれ変わらせる仕組みである。当然のことながら、リユースを活用すれば、旧基準機から新基準機へ生まれ変わらせることが可能である。

2018年9月に導入されるサンセイアールアンドディの「P魔法先生ネギま!」は、旧基準機をリユースし、性能表示モニタ(アウトカウントユニット)を既存枠に後付けで設置することで、旧基準機を新基準機対応にすることを可能にしたわけである。この方法であれば、旧基準機を活用し、新基準機に低コストで生まれ変わらせることが可能なのである。

製造部品の関係上、全ての遊技機に対応することは難しいかもしれないが、そこも行政と交渉の余地があるように思う。同性能であり不正の意図はなく、緊急対策の代替品として新しい部品を認めてほしいと業界団体一丸となって行政と交渉するのである。

メーカーとしても市場設置の多い遊技機の新基準リユース機を補修部品も含め積極的に用意し、良心的な価格で提供すること、ホール側も新基準機移行へ協力することが大前提であれば、最悪の方向は免れるはずである。

方法論は複数あろうかと思うが、業界団体が方向性を打ち出し、統一見解をもってこの難局を乗り切ってほしいと切に望む。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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