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【コラム】部品メーカー/ぱちんこ開発者の独り言

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コラム:ぱちんこ開発者の独り言⑮

●部品メーカー
遊技機開発において、1・2を争うレベルで外注依存度が高いのは、役物を中心とした構造物であるのは間違いないであろう。昨今の遊技機では、その役物が話題になることも多く、各社様々なアイディアを出し、ユーザーの度肝を抜くようなギミック開発に勤しんでいる。

少し前の話にはなるが、デザイン性に特化した専用枠だけではなく、枠上部から顔ギミックが出現した「CR牙狼 金色になれXX」はユーザーの度肝を抜いたのは記憶に新しい。実は、それらはメーカーだけの知恵で世の中にリリースされていないということは意外と知られていない。

一部のメーカーを除き、ほとんどのメーカーは自社にて構想、デザイン、設計、検証、量産をやっておらず、ほぼ全ての工程を部品メーカー(通称、部品屋)と呼ばれる会社が一手に行っている。

メーカー責任として、保通協に適合したものと同等のものを出荷しているという担保のために「全国防犯協会連合会」(通称、全防連)の許可が必要であるため、最終的な組み立てはメーカーの製造工場にて完成させなければならないのであるが、その一歩手前までは、各部品屋にて行うのが通例となっている。

一般的なやり方として、とある企画が立ち上がった際に、メーカーは部品屋とタッグを組んで盤面デザイン及び役物開発を共同で行うが、そのような際は、まずは叩き案として部品屋が全体イメージのラフデザインなどを数案持ち込み、それをメーカー担当者が揉んで、一つの方向性に絞っていくやり方が多い。

大まかなデザインイメージを決め、液晶演出など全体を決める企画部と表現したい演出に沿った役物ギミックなどのアイディア出しや、そのアイディアを具体的なデザインや設計に落とし込んでいく作業も部品屋の業務となることが多い。

アイディアが固まり設計が詰まってくると、設計データでは見えてこない部分を確かめるために、役物等の部分試作などを作成し、実際の動作などを現物で確かめながら設計を修正していく。

それらの検証を繰り返した後、一点モノの遊技機試作を作る。ベンツやレクサスの最高ランク車が1台買えるほどの金額がかかるが、金型を作ってしまうと数億円発生してしまうため、必要経費として割り切って考えるほかはない(最近では、この試作を作らないような動きも出てきている)。

ここでようやく具体的に遊技機が実物として見ることができるようになるので、この試作を使って役員に報告がてらプレゼンをすることが多い。役員プレゼンが成功し承認が下りると、ここから金型発注し、量産することが可能になる。金型で生産した遊技機を様々な検証を行い、不具合が出たところの設計変更を行って金型を修正していくのも部品屋の主な仕事となる。

検証が終了し、不具合が無いことを確認すると、構造物としては一旦完成となる。その後は、メーカーが液晶をはじめとしたソフト部分を実装し、保通協に許可取りを行う。

以上のように、アイディア出しから設計、検証から量産までを一手に部品屋が引き受け、最後の各パーツの組み立てをメーカーの工場で行うため、部品屋とメーカーは切っても切れない関係が今も尚、続いている(主としてコスト削減のため、徐々にメーカー内製化を進めようという動きが強くなってきている)。

ユーザーからみると、各メーカーが独自に役物開発を行っているように思えるが、ほとんどの場合、同じ部品屋が様々なメーカーに出入りし、複数社に渡って仕事をしていることもざらなので、違うメーカーでリリースはされているが、実は同じ部品屋がアイディア出しから設計、量産を行っていたということも少なくない。そのような視点をもち、改めて各社の盤面デザインやギミックを見てみると、新たな発見があるかもしれない。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。

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