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【コラム】ぱちんこは特許の塊(後編)

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コラム:ぱちんこ開発者の独り言⑩

●ぱちんこは特許の塊(後編)

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前回のコラムで、ぱちんこの特許管理を行う組織であった日特連が解散したという話を書いたが、今現在では日工組に加盟している全てのメーカーは「一般社団法人日本遊技機特許協会」(通称:JAMP)に加盟し、特許を管理しメーカーは相互利用している。

日特連の場合は、参入障壁が非常に高くなったことで私的独占により問題になったが、遊技機特許権の管理を第三者機関に委託すること自体、問題はない。他業種等の事例でいえば、ジャスラック(音楽著作権ではあるが、著作権者以外の第三者に管理を委託する)は有名であろう。

但し、JAMPのように「相互利用」を前提とした第三者機関というのは非常に珍しいのではなかろうか。これは前回のコラムに書いたように、ぱちんこ業界自体が特許関連において多くの紛争が発生したことや、規則や申し合わせ事項による対応など、遊技機メーカーが一枚岩で物事を進めなければならないことに起因していると思われる。

余談ではあるが、パチスロメーカーの山佐が後出しジャンケンで大儲けという記事が先月YahooのTOPを飾った。特許を後出しで申請したというところまでは事実ではあるが、その後、これら該当する特許はフリーに使用して良いと業界団体で合意している。
(参考:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171003-00000001-facta-bus_all

閑話休題、簡単にではあるがJAMPの特許相互利用システムについて説明する。年間100機種以上の機械がリリースされ、1台あたりに数百の特許が利用されているため、全ての遊技機の特許を調べるのは非常に困難である。そのため、サンプリング調査により特許の比率を出し、それに応じて費用計算といった形をとっている。

具体的にいうと、1年間で特許について調べる機種は(2017年現在)「8機種」であり、この8機種はJAMPに所属する執行部メーカー8社の最も売れた機種というのが通例である。具体的には、下記のような計算方法になる。

該当8機種は一年が終了した後に、JAMP加盟メーカーに知らされることになる。そこで、各メーカーの知的財産部署は、該当する8機種に自社が持つ特許が使われているかどうかの確認を行う。それらを一定期間まとめ上げた後、JAMPに報告書を提出。JAMPが査定をし、各メーカーから出された特許が、本当に8機種に抵触しているかどうかの確認を行い、認められたものが「有効特許」となり、特許料が支払われる対象の特許となりうる。

ちなみに、執行部メーカーは自社の機械が対象機種になるが、自社の機械は査定対象から外れる。公平を期するために、執行部以外のメーカーは、その中で最も売れていない1機種を対象から外し、各メーカー7機種にて確認を行う。そのため、ここで重要なのは、売れた機械(対象となる)に特許が採用されていないと、いくら特許を持っていたとしても「死蔵特許」扱いになるということである。

遊技機1台あたりの特許料は、おおよそであるが2万円ぐらいだと考えればよい。今年でいえば約150万台程、新台が販売されていると思われるため、年間の特許料は約300億円である。全てのメーカーは販売台数に応じて、特許使用料を一度JAMPに納め、その集められた300億円を、有効特許を持っている比率で分配することになる。

ここ数年、最も有効特許をもっているメーカーはSANKYOであるが、その比率は対象機種が変わるため多少の前後はあれ、大体全体の3分の1程度はあり、特許だけでも多くの利益があがるというのは、このような事情があるからである。

ちなみに、パチスロには特許を管理する団体が主に日電協加盟メーカーによって構成される「日電特許」と、主としてぱちんこメーカーによって構成される「日本パチスロ特許株式会社」の2社あるが、これを話し出すと長くなるので、機会があればまたコラムで触れたいと思う。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。

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