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【コラム】“まどマギ”に代表される1種2種タイプの考察(後編)

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コラム:ぱちんこ開発者の独り言③

●“まどマギに代表される1種2種タイプの考察(後編)

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初代「牙狼」の大ヒットにより、一大ブームになると思われた1種2種タイプは、初代「牙狼」リリース半年程度で、一気に沈静化することになる。あまりにもスペック構築において自由度が高く、射幸性を容易に引き上げることが可能な1種2種タイプが日工組(ぱちんこメーカーで構成される業界団体)にて大きく問題視され、1種2種タイプを日工組にて“自主的に”規制しようという話になったためだ。

ところで、ぱちんこにおけるスペック構築において、必ず守るべき数式がある。それが「MNRS≦12」と呼ばれる公式である(※2018年から施行される規則改正にて、公式の数字である12が10へと変更になるが、ここでは便宜上、12と表記する)。実は、1種2種タイプは、この公式を使用するにあたり大きなアドバンテージがある。下記にて、簡単に説明したいと思う。

M:(平均の)大当り確率
N:(平均の)ラウンド数
R:アタッカーのカウント数
S:アタッカーの払い出し玉数

非常に簡単にではあるが、MNRSの意味するものはこれらのものである。これを見てわかる通り、NRSは出玉に直結するものであり、そこに大当り確率を掛け合わせるわけである。すなわち、出玉における数値が大きくなればなるほど、大当り確率は低く(=辛く)しなければならないことが規則により決められており、この公式は必ず守らなければならない。

詳細な計算式は割愛するが、大当り確率であるMは主として、低確率状態と高確率状態の2つの確率から算出されるものであり、この2つの確率を調整しながら出玉数設計をしなければならない。

そこでポイントになるのが、1種2種タイプである。このタイプは、V入賞させ大当りを誘発する状態中(いわゆる“●●ラッシュ”等と呼ばれる区間)は、“低確率”時短あり状態である。そのため、最も良い状態であるラッシュ中であったとしても、全て低確率状態とみなして計算することが可能なため、MNRSの公式に数字を収めることが従来機よりも、遥かに楽なのである。

話を本筋に戻すと、新規則並びに、日工組における内規や申し合わせ事項において、出玉性能においては大きく規制されている現状であるため、1種2種タイプであるからと言って、射幸性を高く持つことは不可能である。

しかしながら、出玉設計における自由度の高さ、前回コラムにて言及した遊技性の簡略化におけるわかりやすさの向上、また、継続率65%規制下においても高継続率タイプを設計可能(※詳しくは次回のコラムにて)な1種2種タイプは、新たな規則や申し合わせ事項が無い場合に置いては、これからの開発スペックにおけるメインストリームになることは間違いないと思われる。

ただし「過ぎたるは猶及ばざるが如し」、規則や内規の抜け道を探り、射幸性を追求しすぎると、自由度の高い1種2種タイプに新たな楔を打つ必要性があることは予め申し上げておく。

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイトを設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。

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