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【寄稿】パチンコ・パチスロ規制 規則改正案を最速徹底解説!②/鈴木政博の遊技産業考現学

投稿日:2017年7月15日 更新日:

別表第4 ぱちんこ遊技機に係る技術上の規格(第6条関係)
(1)性能に関する規格
ロ 遊技球の獲得に係る遊技機の性能に関する規格は、次のとおりとする。

(改正前)
(ハ) 遊技球の試射試験を1時間行つた場合において、獲得する遊技球の総数が発射させた遊技球の総数の3倍に満たないものであること。

(改正案)
(ハ) 設定ごとに、遊技球の試射試験を1時間行つた場合において、獲得する遊技球の総数が発射させた遊技球の総数の2分の1を超え、かつ、2.2倍に満たないものであること。

【解説】
短時間遊技の上限が300%から220%へ規制強化。さらに短時間には、33.33%の下限も設定された。これにより通常時ベースが現行日工組内規の30%から、事実上最低でも35%程度までアップすることになる。また1500個大当たりが4回で6000個のセーフが出るが、確変中は元々が出玉率100%に近く一時間で6000個近くをベースで払い出している状態のため、一時間以内に5回以上の大当たりが発生すると不適合になる可能性が高い。

施行規則と違う点は、設定が数段階ある場合は「設定ごとに」別々に試射試験を行うことが明記されている。

(改正前)
なし

(改正案)
(ニ) 設定ごとに、遊技球の試射試験を4時間行つた場合において、獲得する遊技球の総数が発射させた遊技球の総数の5分の2を超え、かつ、1.5倍に満たないものであること。

【解説】
(風適法施行規則の同一部分の解説を再掲載)今までなかった新たな試射試験。警察庁として「4時間遊技で5万円以上出るのは好ましくない」との考えから、事実上、4時間遊技では48000円(12000発)しか出ないようにするために追加された。さらに4時間遊技では下限40%以上も盛り込まれている。4時間大当たりしない場合の不適合のリスクを考えると、実質的にはベースは40%あった方が安全策となる。

(改正前)
(ニ) 遊技球の試射試験を10時間行つた場合において、獲得する遊技球の総数が発射させた遊技球の総数の2分の1を超え、かつ、2倍に満たないものであること。

(改正案)
(ホ) 設定ごとに、遊技球の試射試験を10時間行つた場合において、獲得する遊技球の総数が発射させた遊技球の総数の2分の1を超え、かつ、3分の4に満たないものであること。

【解説】
(風適法施行規則の同一部分の解説を再掲載)中時間試験は「一日営業」を想定した時間での試射試験でぱちんこ遊技機では最も長時間のものだが、下限については50%と変更はないものの、上限が200%から3分の4(133.33%)へ抑制された。35個交換、40個交換など低交換率営業は今後かなり現実的でなくなるかもしれない。またこれだけ見ると、等価に近ければ出玉率133.3%なら現実的に可能なようにも見えるが、今までの試験の流れだと5台を持ち込んですべて50%~133.3%の間におさめなければならない。さらに後述する「設定機能」の導入もあり、仮に「設定6段階」だとすれば6設定×5台で30台試射試験するのと同等になり、そのうち一台でも133.4%を超えると不適合になる。適合率の観点からは大きな問題点であるといえる。

(改正前)
(ホ)  遊技球の試射試験を10時間行つた場合において、獲得する遊技球の数のうち役物の作動によるものの割合が7割(役物が連続して作動する場合における当該役物の作動によるものの割合にあつては、6割)を超えるものでないこと。

(改正案)
(ヘ)  設定ごとに、遊技球の試射試験を10時間行つた場合において、獲得する遊技球の数のうち役物の作動によるものの割合が7割(役物が連続して作動する場合における当該役物の作動によるものの割合にあつては、6割)を超えるものでないこと。

【解説】
風適法施行規則では変更されず改正案がなかった部分。役物比率については現行通りで「すべての払い出しのうち、アタッカー&電チューでの払い出しが7割を超える」「すべての払い出しのうち、アタッカーでの払い出しが6割を超える」とNG。ここではパチンコにも設定が搭載可能となるため「設定ごとに」試射試験を行うことを追記した。

ヘ 特別電動役物、条件装置及び特別図柄表示装置の性能に関する規は、次のとおりとする。

(改正前)
(リ)  役物連続作動装置の1回の作動により特別電動役物が連続して作動する回数の合計がN回、特別電動役物に係る最大入賞数の最大値がR、1個の遊技球が大入賞口に入賞した場合に獲得する遊技球の数の最大値がSである場合において、作動確率Mにつき、次の関係が成立するものであること。

M×N×R×S≦12

(改正案)
(リ) 役物連続作動装置の1回の作動により特別電動役物が連続して作動する回数の合計がN回、特別電動役物に係る最大入賞数の最大値がR、1個の遊技球が大入賞口に入賞した場合に獲得する遊技球の数の最大値がSである場合において、作動確率Mにつき、次の関係が成立するものであること。

M×N×R×S≦10

【解説】
MNRSが12から10に変更された。このMNRS「M=平均確率」「N=ラウンド数」「R=カウント数」「S=賞球数」のこと。このMNRSとは実質「大当たり確率の上限規定」であり、日工組内規で決められている「320分の1より甘くする」というような大当たり確率下限規制の逆にあたるものだ。つまり「あまり大当たりが出すぎるのは射幸性をあおる」ことから、あまり甘く設定できないよう定められているもの。現行規則ではMNRSとして「M(平均確率) × NRS(2400個) ≦ 12」が適用されていた。その前の規則では「M(平均確率) × N(16R) ≦ 0.08」だった。平均確率とは、通常時と確変中との確率を合わせると、つまり何分の1で当たる台か、という数値だ。どちらも共に「オール2400発機であれば、平均確率は200分の1より甘くできない」という点で共通していた。それが今回「M(平均確率) × NRS(1500個) ≦ 10」となる。

これはどう解釈すればよいか。28年間近く「オール2400個は平均確率200分の1より甘くしてはいけない」というルールが、ここで「オール1500個機は、平均確率150分の1より甘くしてはいけない」となったのだが実はこの部分、6月19日の案では「MNRS≦7.5」だった。つまりこの時点では、「オール1500発機になっても、やはり平均確率の上限は200分の1」だったのだ。これが少なからず「オール1500発機なら平均確率の上限は150分の1」までOKになったのは、かなり大きな緩和といえる。

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